ブログ更新、久しぶりとなります。
最近行われた、当研究所関係者の展覧会を紹介させていただきます。
まずは6月上旬に国立新美術館で開催された第一美術協会展より、阿部勝夫さんの作品です。

『岩礁』と題されたP100号の大作です。
三浦の海がとても美しく表現されています。
緻密に描かれた波。
侵食を繰り返して様々な表情を見せる岩。
そしてたなびく雲と情感溢れる青空。
風を受けてゆっくり飛ぶ鳶は、阿部さんご自身の姿でしょうか・・・。
見応えのある力作だと思います☆
次は同じ会期に同じ国立新美術館で開催されていた現展における石栗伸郎さんの『A Message from Unconsciousness』。

これはCGによる表現です。
まずは会友賞おめでとうございます!
今回は特別企画としての展示で、石栗さんは優遇されていました。
石栗さんは実際このような映像・画像を網膜上に見るのだそうです。
それを外に出してあげたい、との思いから制作を開始されました。
そうやって見てみると、人間には不可解な面があるのでしょう、言葉にならない世界が精神の奥底に広がっているのだと実感します。
次は、銀座教会で開催されていたキリスト教美術展での細矢恵美子さんの作品。

F50号『奥に隠れていて』 と F8号『無題』 となります。
今年で45回目を迎える伝統あるキリスト教美術展。
そこに大抜擢されました。
有名な作家さんたちに混じって堂々の作品を見せていました。
特にその精神性の表出において一番良かったのではないか、と思いました。
ここからは横須賀美術協会展=YB展になります。
まずは第1ギャラリー入って真正面に飾られていて一際目立っていたのが原恭子さんの『現代自在天子 -五部浄考-』というF100号の大作です。

【五部浄】とは、仏教を守護する八部衆の一人で、興福寺の乾漆像で有名です。
その中にはかの有名な【阿修羅像】もありますが、原さんが今回選んだのは、手足のもげた、それこそ首像と化した五部浄でした。
阿修羅が元々はゾロアスター教のアフラ・マズダーから来ているように、他宗教の神様を仏教に取り入れたのかもしれません。
象を被り物にしているので、ここは宗達の板絵や仏画の象などを取り入れて全く新しい解釈の絵となりました。
モデルのマッキーくんは美男子ですが、この絵のマッキーくんもちょっと神秘的な表情をしていて素敵です。

拡大するとさらに顔の表情が浮かび上がります。
【天】を表す神様とのことで、壮大な宇宙のエネルギーをも感じることが出来ますね。
素晴らしい作品です☆
次は加山雅子さんの『大巧寺』です。 だいぎょうじ、と読むそうです。

鎌倉にあるお寺ですね。
安産祈願の寺院として有名らしいです。
石畳が印象的な作品。
ここを歩いて願いをかけるのでしょうか・・。
生き生きとした蓮の花などの描写も相まって、加山さんの優しさを十分に感じ取ることが出来ます。
現代建築も取り入れて、モダンな印象にもなっていて素敵ですね。
さらに近藤俊子さんの『路地裏の春』。

これは、鶴久保小学校近くにある酒屋さんの脇を入った小道の風景です。
昔ながらの民家で素朴でホッとします。
今でもこういう家に住んでみたい、という気持ちを持ってしまうのは私だけでしょうか・・・?
のんびりたなびく2つの雲も、とっても良いですね♬
アスファルトの敷いていない土の道も嬉しいです。
大正ロマンならぬ、昭和ロマン、、。という言葉もあっていいですね!
そして橋本まち子さんの『ふかれていこう』です。

仏訳すると【ケセラセラ】、、でしょうか。
ずっとずっと絵を描いて来られて、いろいろな経験もされて、今ここに在る。 BE HERE NOW です。
その達観を思うとさらに感動致します。
いろいろなテクニックをひけらかすことなく使う。
自由自在に。
さらに次は沼田敏先生の『出漁の日はいつか』です。

とても美しい絵です。
そして人間を感じますね。
出漁を待つ船は、しっかりと手入れされ、保護もされています。
丁寧に生きている人間の営為が感じられ、さらに沼田先生のお人柄もリンクして、じわじわ感動が押し寄せます。
海の近くに住んでいることの幸せを改めて実感します。
最後を飾るのは、再び細矢恵美子さんの『捜し物は、なんですか?』です。

幻想的な内面世界です。
容易な解釈は出来ませんが、その分、思考から解き放たれて全く自由自在なインナートリップをさせてもらえます。
説明的な描写は一切なく、妙なあざとさとも皆無なので、純粋に絵と向き合う事ができます。
素晴らしいと思います。
ということで、また皆さんの作品を紹介出来たら、と思います。